【白い影】 10話(最終回) 君よ笑顔のままで

以下、ドラマ白い影最終話のネタバレを含みます。

まだ本作をご覧になっていない方は、ご了承の上お読み下さい。

気を失ってしまった直江は目を覚ます。

心配する倫子に、過労で貧血を起こしたこと、また、過去に腰椎を痛めたこと原因であると嘘をつく。

どうして話してくれたのか?

と問いかける倫子に、

一緒に北海道に行くからだ、もし旅行先で体調が悪くなったら君は心配するだろうと説明する。

 

院長室で話す、小橋と院長。

「直江先生がMM(多発性骨髄腫)、、」

院長と小橋は、どうすることもできない現実に嘆く。

美樹子の病室

「あの人を助けてあげられる…?」

美樹子がか細い声で院長に問いかける。

「それは難しい、残念だがな…」

「誰かをこんなに好きになったことはなかった…」

美樹子は泣きながら話す。

倫子の自宅

倫子は自宅で母と話す。

「北海道!?直江先生と?」

「うん、先生の生まれた場所に行けば、私もっと先生のことわかってあげられる。」

「じゃあ反対したっていくんでしょ。」

「そうだけど、お母さんにはわかってもらいたいから。」

「あんた、なんかいつもとちょっと違うわね、」

「え?」

「そんな顔して言われたら反対もできないじゃない。」

院長室

直江は北海道に行くために、院長に休暇をとりたいと告げる。

病気のことをすでに知っている院長は、心良く許可をする。

そして最後に、父親として頼みがあると告げる。

「娘に会って行ってやってくれませんか?

会ってくださるだけで結構です。」

「はい。」

「ありがとう。」

直江は退室する。

モルヒネ

屋上で話す小橋と二関。

「どういうことですか、直江先生にもうフロノス届けなくっていいって。」

「薬剤部から経口のモルヒネを調達しているようなんです。」

「モルヒネ、、

激痛を抑えるためだけに…。

もうそこまで進行してるんですね、なんか情けないです。

薬を扱っているのに、目の前にいるあの人一人救うことができないんですね。」

二人は悲しみに暮れる。

小橋と直江

直江が医局にいる。

そこに小橋が入ってくる。

直江が話す。

「早速ですが、入院患者の引き継ぎからお願いします。」

「直江先生、北海道へ行くって、本当ですか?」

「…まず、仕事をさせてください。

小橋は書類を取り上げる。

「その身体で旅行なんて無茶だ。

確かにあなたの人生です。あなたにはあなたの生き方があるというのもわかる。

でも、彼女はどうなんです。

残される彼女は、

もう時間が無いとわかっていれば、もっと話したいこともあったと、もっともっとしてあげたいこともあったってそう思うんじゃないんですか!

…僕だってそうだ

友人として、何もできないことが悔しい、なんで君が。。」

 

「ありがとうございます。」

「本当に最後まで彼女には何も言わないつもりなんですか?」

「彼女ならわかってくれます。

そういう人だから僕は、彼女を愛することができた。

今怖いのは自分の身体のことじゃない。

愛する人から笑顔が

僕の前で、笑顔が消えることが一番怖いんです。」

美樹子の病室

直江は、美樹子の病室に入る。

「痛みは?」

「大丈夫。」

「すまなかった。」

「やっとわかったわ。

あなたがいつもどこをみてたのか。

どうして私を抱いたのか。

もう、怖くないの?彼女がいるから?

そうさせる彼女のチカラは一体何?」

美樹子は尋ねる。

医局

医局で志村が仕事のために小橋の元へ行く。

去ろうとする倫子に小橋は話しかける。

「あ、直江先生と北海道に行くんだって?」

「高木さんですね、もうお喋りなんだから、はい。」

倫子は笑顔で答える。

小橋は納得した表情を浮かべる。

「あ、あの??」

「君のそういうところなんだろうな。

直江先生ね、患者さん以外を寄せ付けない所があったんだ。

でも最近はなんだか柔らかくなった。きっと君に会ったからなんだな。」

「直江先生は元からあったかい人なんだと思います。」

「そうかな、そうかも知れないな。」

エスカレーター

エスカレーターで二関とすれ違う直江。

二関が話しかける。

「直江先生、フロノス、先生から頂いたデータもあって、近いうち承認されそうです。」

「そうか」

「それと私、研究開発部に移動になりました。

これからは新しい薬を作ります。

いろいろお世話になりました。」

「僕の方こそ、ありがとう。」

直江はエスカレーターを降りていく。

倫子の母親と直江

倫子の母親は病院を出た直江と偶然会い喫茶店に行く。

倫子の母親は、二人での旅行を心配する。

しかし、直江ははっきりと答える。

「倫子さんは、しっかりとした人です。」

「そうですか?」

「ええ、看護婦としても女性としても」と言い切る。

「支笏湖ですって?行くの?」

「はい」

「そこにどうして倫子をって思われたんですか?」

「子供の頃から、北海道でも一番好きな場所でした。」

「だから倫子にもみせたい?」

「ええ。」

「あの子がしっかりしてるかどうか、母親としてはなんとも言えませんけど、あの子頑張りやだとは思います。

一つぐらい誉めておかないとね。

あとは先生に見つけて頂きたいからやめておきます。」

「彼女がああいう女性になった理由がわかりました。」

「え?」

「あったかくて強くて、お母さんがいらっしゃったからですね。」

「ありがとうございます。」

その夜

その夜、直江は苦しそうな表情をしながら自宅で薬を飲んでいる。

すると、倫子から電話がかかってくる。

倫子は、母と話してくれて嬉しかったと伝える。

明日の旅行が楽しみであることを告げ、二人は電話を切る。

支笏湖

支笏湖を訪れる直江と倫子。

「先生…。ここ、先生の部屋の写真の」

「ああ」

「そうなんだ」

「ここは、僕にとって、心がいちばん落ち着く場所なんだ。だから、君といっしょに来たかった」

二人は支笏湖を見ながら、多くのことを話す。

暖炉

暖炉の前にいる二人。

「また、いっしょに来るなら、春がいいな。そしたら、今度こそいっしょにボート乗りましょ」

「君は明日、東京に帰るんだろ。僕はこっちで、もう少し人と会っていくから」

「はい。じゃ、東京で」

直江は突然、倫子を抱きしめる。

「僕はいつでも君といっしょにいるよ。

君のそばにいるから」

渡り廊下

東京に帰った倫子は、病院の渡り廊下で空を眺めている。

「ダーリンはいつ帰ってくるの?」

高木に話しかけられる。

「今日か明日ぐらいかな?」

「待ち遠しいでしょ?」

「うん。」

「なんか意味ありげな微笑み」

「そんなことないよ」

電話

東京に戻り勤務している倫子。

すると、病院に電話がかかってくる。

「志村倫子さんですか?」

「はい。」

「私、札幌の直江と申します。直江庸介の姉です。」

「あ、どうも、」

「庸介が、、亡くなりました。」

「え?」

「死んだんです。」

 

「死んだ、、直江先生がですか?」

「はい。」

「…なんで?」

「支笏湖で、自ら命を絶ちました。

今朝、庸介がボードで漕ぎ出すの見た人がいて、それから行方不明に。

それでつい先ほどボートだけが見つかって、そこに庸介のコートが…」

倫子は、そのまま倒れ込み、気を失ってしまう。

目を覚ました倫子

倫子は病室で目を覚ます。

そこには小橋がいた。

「夢、夢見てたんですよね?

嘘、、ですよね?

嘘です。」

そこに「倫子!」と倫子の母が入ってきて倫子の手を握る。

「直江先生、今日帰ってくるの、私部屋で待ってなきゃ」

「倫子、しっかりしなさい」

と言われ、嘘では無いと悟り、泣き叫ぶ倫子。

私じゃダメだったの?と言う倫子に、母は、「そんなことないわよ、お母さんみたもの、ちゃんとみたから、先生が倫子のこと話すときの顔、

倫子に負けないぐらい、先生、倫子のこと愛してた。」

と告げるも、泣き叫ぶ倫子。

ビデオレター

悲しみに暮れた倫子は、病院を抜け出し、河原にいた。

ボートを漕ぐカップルを眺めていた。

思い立ったように、直江のマンションに向かう。

そこで、ソファにある石倉のハーモニカと「志村倫子様」と書かれた白い封筒をみつける。

そして、封筒の中にあったビデオ映像を手に取る。

ビデオを再生する倫子。

そこには直江が写っていた。

「どうしても。

自分の口から出る言葉で、君に伝えたかった。

今の君にとって、僕の姿を見ることは、つらいことだとわかっていても。

君に伝えたかった。

僕は、

多発性骨髄腫。

それも末期だ。

もう助からない。

もうじき、歩くこともできなくなる。

君と出逢った頃の僕は、必死の運命の中で、もう誰も愛さないと決めていた。

でも、君と会ってしまった。

いや、君に会うことが出来た。

君はきれいな目をして、暗闇の中にいた僕には、眩しかった。

僕は最初から、その時が来たら、消えようと。

滅んでいく体を。

水の底に深く沈め、綺麗に消えようと決めていた。

でも、、

それでも怖かった。

迫ってくる死が怖かった。

怖くて、、

やけにもなった。

そんな僕を、君が包んでくれた。

そして、救ってくれた。

僕のわがままだったんだ、最後の最後まで。

君にそばにいて欲しかったこと、

君一人を残して自ら死んでいくこと、

すべて、僕のわがままだった。

僕は、この病気のことをよく知っている。

自分に残された時間のこともよくわかっていた。

だから、自分の意思で、納得して死のうと思った。

君と出会い、心から、本当に、良かったと思えたから。」

 

「君のお母さんに会って。

君もいつか、こんな素敵な母親になるんだろうなって。

いつか君が

愛する人の子供産んだ時。

僕は、

笑顔で、祝福を送りたい。

…そろそろ出かけないと。君が待っている。

君の笑顔が

倫子の笑顔が大好きだ。

だから。泣かないで。

愛してる。」

それを見た倫子は号泣する。

「先生、ずるいよ、、

私だって話したいこと、いっぱいあったのに、、

話さなきゃいけないことあったのに…」

倫子はお腹に手をあてる。

「…ここに赤ちゃんがいます。

先生と、先生と私の赤ちゃんです。」

院長室

「あなたにこのデータを託します。」

小橋は直江の書類の中にある、多発性骨髄腫のデータを受け取っていた。

そして小橋は、直江が残したデータを役立てるため、大学病院に戻ることを院長に伝える。

また、勉強したら必ず戻ってくることも誓う。

院長は、血液内科を病院に作ることを約束し、二人は手を取り合う。

ナースステーション

職場に戻った倫子。

そこに、車椅子に乗った美樹子。

倫子は、美樹子を車椅子で押しながら歩く。

そこに、院長と小橋が通りかかる。

院長は倫子に頑張ってくださいと告げる。

「元気でやってくれますかね。」

と心配する院長に

「彼女ならきっと大丈夫です。直江先生が信じた女性ですから。」

と小橋が答える。

倫子は、そのまま車椅子を押して病院の外に出る。

「春の匂いがしますねー」

倫子は思わず、笑顔になる。

すると美樹子は、微笑みながら話しかける。

「ほんとね?」

「はい?」

「直江先生の言った通り。

あなたを救う志村倫子のチカラは何?って聞いたら、あの人言ったの。

彼女の春みたいな笑顔だって」

Ending

川の上でボートを漕ぐ倫子。

そのまま寝ころぶ倫子。

白い影 最終話、終わり。

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