直江先生は、最後まで倫子に何も言わずに支笏湖に身を沈めました。
しかし、実際これやられたら残酷すぎると思います。
好きな人が何も言わずにこの世を去るのは半端ないトラウマ
当たり前のことですが、好きな人が何も言わずにこの世を去るのはとてつもない苦痛です。
普通はトラウマになってしばらく引きこもっていても誰からも文句は言われないでしょう。
「どうして自分に言ってくれなかったの!?」
と自分の無力感と罪悪感で一杯になるでしょう。
倫子は直江先生のビデオレターを見てすぐに立ち直り、普通に仕事をしていますがこれは倫子の精神的な強靭さがあるからできることです。
直江先生が何も言わなかった理由はわがまま
直江先生が倫子に言わなかった理由は
「倫子を悲しませたくない」
「笑顔でいる倫子が好きだから」
という非常にわがままなものです。
小橋先生は倫子の気持ちを代弁して直江先生と口論になりますが、それでも折れない自分勝手っぷり。
それでも
「彼女ならわかってくれます」
とそんな自分勝手な自分さえわかってくれるというとてつもない倫子への期待です。
代わりにビデオレターを残したことはせめてもの誠意でしょう。
直江先生の理想をすべて実現する倫子
実際倫子はすべてを受け入れて、すぐに職場復帰し、直江先生との子供を一人で出産し育てると言う人間離れしたとてつもない母性を発揮して直江先生の期待にすべて応えます。
本当にすごすぎます。
悪く言えば妄想小説と言われても仕方のない
渡辺淳一さんの作品は悪い言い方をしてしまうと男の妄想小説と言えます。
実際調べてみるとそのような評価を下す女性も一定数います。
確かに、あまりにも自分勝手で、こんなことを受け入れてくれる女性などこの世にいないからです。
だからこそ価値があるのでしょう。
女性が自分を迎えに来てくれる白馬の王子様を妄想するように、男性も超越した母性を持った女性を妄想することはあるからです。
とことん自分から振り回しておいて、それでもついてくれる女性の妄想を倫子で実現させたのではないかと個人的に思っています。
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